
英語の代名詞とは?
代名詞(pronouns)を一言でまとめると以下のとおりです。
名詞の代わりに使うといわれても
「そのまんまやんけ!!」
と言われそうなので例文で説明しますね(笑)
John is my friend. He is kind.(ジョンは私の友人です。彼は優しい人です。)
この文の場合 "He(彼は)" が代名詞となります。
代名詞は同じ名前(この場合はJohn)を何回も言わなくていいように、代わりに短くスムーズに話すために使います。
代名詞は
”何の名詞を指しているか?”
というのがポイントです。
代表的な代名詞は以下のとおりです。
I(私)
he(彼)
she(彼女)
you(あなた)
we(私たち)
they(彼ら)
it(それ)
英語の代名詞の文法的役割とは?
英語の代名詞は文の中で以下のような文法的役割を持ちます。
① 主語になる(主格)
② 目的語になる(目的格)
③ 所有を表す(所有格)
④ 再帰代名詞(~自身)
⑤ 指示代名詞(これ・それ・あれ)
英語初心者の方はちょっと難しいかもしれませんね。
でも今後英文法を勉強する上で必ず必要な予備知識ですのでここでしっかり理解しておきましょう。
ではそれぞれ解説していきますね。
代名詞の文法的役割① 主語になる(主格)
主格とは、
”文の主語(=「~は」「~が」の役割)”
を持つ形のことをいいます。
つまり
”(誰が)動作するのか?の(誰)を表すのが主格”
になります。
以下の例文をみてみましょう。
I play tennis.(私はテニスをします)
この文だとテニスをするのは”I(私)”ですからIが主格ですね。
主格になる代名詞は以下のとおりです。
主格になる代名詞 | 意味 |
I | 私は・が |
you | あなたは・が |
he | 彼は・が |
she | 彼女は・が |
it | それは・が |
we | 私たちは・が |
they | 彼らは・が それらは・が |
主格の働きまとめると以下のようになります。
① 文の最初に来ることが多い
② 動作をする人やモノを表す
③ 動詞は主格に合わせて形が変わることもある(三単現の "s" など)
例文をみてみましょう。
She studies English every day.(彼女は毎日英語を勉強します)
この場合の動詞はstudy(勉強する)なので三単現のsがついています。
じゃあ誰がstudy(勉強という動作)するのでしょうか?
She(彼女)ですね。
だからこの文はSheが主格になり文の最初に来ています。
ちなみに三単現が何か分からない人は以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
※関連記事
日本語にはない英語特有のルール 三単現のsて何?どんなときに使うの?
よく分からない人は
”主格=「この文の主人公はこれ!」って教えてくれる役割”
という認識でいいかと思います。
代名詞の文法的役割② 目的語になる(目的格)
目的格とは
動詞や前置詞の後ろにきて「~を」「~に」みたいな意味になる形
のことをいいます。
つまり
「誰に?」「誰を?」「何に?」「何を?」
といった動作の受け手を表すのが目的格になるんですね。
目的格の働きまとめると以下のようになります。
① 動詞のあとで(~を)(~に)の意味になる
② 前置詞のあとにおかれる場合もある
これも同じく例文でみてみましょう。
I saw him.(私は彼を見た。)
この場合の動詞はsaw(見た)・主格はI(私)ですね。
じゃあI(私)は誰を見たのでしょうか?
him(彼を)ですね。
この場合のhimは
”私から見られた対象”つまり”動作の受けて側”
なのが分かりますか?
だからこの文はhimが目的格になりsawという動詞のあとにきていますね。
また目的格は前置詞の後にもおかれます。
This gift is for her.(このプレゼントは彼女へのものです。)
この場合の動詞はbe動詞のis(です)ですね。
そしてfor(~のための)という前置詞がherの前に使われています。
この場合のherも
”~ためのプレゼント”つまり”動作の受けて側”
なのが分かりますか?
だからこの文はherが目的格になりforという前置詞のあとに使われているんですね。
ちなみにbe動詞や前置詞が分からない人はこの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
※関連記事
前置詞を制するものは英語を制す?会話でよく使う前置詞30選を徹底解説
be動詞って何?
目的格になる代名詞は以下のとおりです。
目的格になる代名詞 | 意味 |
me |
私を・に |
you | あなたを・に |
him | 彼を・に |
her | 彼女を・に |
it | それを・に |
us | 私たちを・に |
them | 彼らを・に それらを・に |
主格との違いは、
”~する側(主語)”→ 主格
”~される側(受け手)”→ 目的格
という認識でOKです。
代名詞の文法的役割③ 所有を表す(所有格)
所有格とは
「誰かのもの」という所有関係を示す代名詞の形
のことです。
簡単に言うと、
「私の」「あなたの」「彼の」「彼女の」
みたいな(~のもの)といった言葉を指します。
所有格の働きまとめると以下のようになります。
① 所有格は【名詞とセットで】使う
② 「誰の~」という所有を表す
所有格になる代名詞は以下のとおりです。
所有格になる代名詞 | 意味 |
my |
私の |
your | あなたの・あなたがたの |
his | 彼の |
her | 彼女の |
its | それの |
our | 私たちの |
their | 彼らの |
いくつか例文をみてみましょう。
This is my book.(これは私の本です。)
Is that your pen?(あれはあなたのペンですか?)
His car is new.(彼の車は新しいです。)
Her idea is interesting.(彼女のアイディアは面白い。)
Its color is beautiful.(それの色はきれいです。※「it」は動物や物に対して使います)
Our house is big.(私たちの家は大きい。)
Their teacher is kind.(彼らの先生は親切です。)
このように代名詞の所有格は全て
”直後の名詞とセットで使われている”
というのが分かりますね。
また所有格と似たもので
”所有代名詞”
というのもあります。
これは”~のもの”という意味を単独で表す代名詞となります。
直後に名詞を伴わずに単独で使用できるというところがポイントです。
所有代名詞は以下のとおりです。
所有代名詞 | 意味 |
mine |
私のもの |
yours | あなたのもの |
his | 彼のもの |
hers | 彼女のもの |
ours | 私たちのもの |
yours | あなたがたのもの |
theirs | 彼らのもの |
また”it”には通常、所有代名詞の形はありません。理由は人に対して”それのもの”という表現はあまり使わないからです
所有代名詞の例文です。
This book is mine.(この本は私のものです。)
Is this pen yours?(このペンはあなたのものですか?)
That jacket is his.(あのジャケットは彼のものです。)
The idea was hers.(そのアイデアは彼女のものだった。)
This victory is ours.(この勝利は私たちのものです。)
The decision is theirs.(その決定は彼らのものです。)
所有代名詞はこのように名詞を伴わず単体で(~のもの)という意味で使うことができます。
会話では頻出ですので必ず覚えておきましょう。
代名詞の文法的役割④ 再帰代名詞(~自身)
再帰代名詞は
主語自身に動作が返ってくるときに使う代名詞の形
です。
日本語でいうと
「自分自身で~する」「~を自分で~する」
というときに使われます。
ちなみに再帰代名詞は僕も苦手で最初は理解に苦しみました。
だから他より少し掘り下げて説明しています。
これも英会話では頻出ですし知っておくと色んな表現に応用できますのでぜひここで理解しておきましょう。
再帰代名詞は以下のとおりです。
再帰代名詞 | 意味 |
myself | 私自身 |
yourself | あなた自身 |
himself | 彼自身 |
herself | 彼女自身 |
itself | それ自身 |
ourselves | 私たち自身 |
yourselves | あなたがた自身 |
themselves | 彼ら(彼女ら)自身 |
再帰代名詞の使い方の注意点をまとめると以下のようになります。
① 主語と目的語が同じ人物・物のときしか使えない
② 「by + 再帰代名詞」で「~自身で」「ひとりで」という意味になる
③ 主語としては使えない
④ 強調構文(本人がやったことを強調)としても使える
よく分からないと思うのでそれぞれ例文で解説しましょう。
再帰代名詞は主語と目的語が同じ人物・物のときしか使えない
再帰代名詞を使うときは主語と目的語が同じでなければ使用できません。
この例文を見てください。
I hurt myself.(私は自分自身を傷つけた)
He blamed himself.(彼は自分を責めた)
The cat cleaned itself.(猫が自分の体をなめた)
They introduced themselves.(彼らは(自分たちを)自己紹介した)
どれも主語(I・He・The cat・They)と目的語が同じですね。
つまりどの文も(自分自身を~した)という意味合いになっています。
こういった文を作りたいときに目的語としておくのが再帰代名詞になります。
”主語が自分自身を~した”という意味になるわけですから、当然目的語(対象)は主語と同じにならなければなりませんね。
「by+再帰代名詞」で「~自身で」「ひとりで」という意味になる
”by+再帰代名詞”の形は英会話でもめちゃくちゃ使う頻出表現です。
これが使えると英会話の語彙の幅が広がりますのでここで覚えてしまいましょう。
by+再帰代名詞は
「自分自身で」「独力で」「一人で」
という意味になります。
イメージは
”誰の助けも借りずに、自分自身で何かをする”
という感じでOKです。
例文をあげてみましょう。赤字はイメージです。
I made the cake by myself.(私はそのケーキを(誰にも手伝ってもらわずに)自分で作った)
She went to the party by herself.(彼女はパーティーに(誰にも付き添われずに)一人で行った。)
They built the house by themselves.(彼らはその家を(専門家に頼らず)自分たちで建てた。)
He fixed the bike by himself.(彼は自転車を(修理屋に頼まず)自分で修理した。)
つまりこの表現は
”誰に頼ることもなく独力でやりとげた”
という部分を強調するときにも使えます。覚えておくといろいろ便利ですね。
再帰代名詞は主語としては使えない
再帰代名詞は主語としては使用できません。
例えばこういった文は文法上ありえないんです
Myself went to the store.
だからこの文を正しく表現するなら・・
I went to the store by myself.(私は一人でそのお店に行った。)
という感じですね。
これは
”文法上そういうもの”
という認識で割り切って覚えてしまいましょう。
再帰代名詞は強調構文(本人がやったことを強調)としても使える
再帰代名詞は
「~自身で」「まさにその人が」という意味で、
主語や目的語などを強調するためにも使われます。
使い方としては以下の2パターンがあります。
主語の直後に置く(主語の強調)(主語 + 再帰代名詞 + 動詞)
I myself cleaned the room.(私自身が部屋を掃除した)
The president himself gave the speech.(大統領自身がスピーチした)
イメージとしては
”他の誰でもなく私自身がやった”
という感じですね。
それぞれmyself・himselfがI・The presidentという主語を強調することで(~自身が)というイメージを表現しています。
文末に置く(動作主を強調)(主語 + 動詞 + 目的語 + 再帰代名詞)
She made the cake herself.(彼女がそのケーキを自分で作った)
They fixed the car themselves.(彼らが車を自分たちで修理した)
イメージは
”誰の手助けもなく自分の力でやった”
という感じですね。
強調する再帰代名詞のそれぞれの使い分けは?
でもここでこんな疑問があると思います。

先ほどの”by myself”も(自分の力で)というような意味だったよね?使い分けはどうするの?
これ僕もめちゃくちゃ悩みました。
しかしこれは理屈で覚えると頭がこんがらがるのでイメージで覚えた方がいいと思います。
それぞれ例文で解説しましょう。
① She made the cake herself.
② She herself made the cake .
③ She made the cake by herself.
この3つはどれも和訳すると意味的には
”彼女は自分一人でケーキを作った”
でほぼ正解です。
何が違うかというと強調するポイントやイメージが微妙に違うんですね。
① She made the cake herself.
これは
”誰かの助けを借りずに自分でやった”
という行動の主体を強調しています。
つまり”彼女が作った”ということを自然に強調したいときに使うんですね。
イメージはこんな感じです。

ねぇねぇ そのケーキは店で買ったの?

違うよ 彼女が自分で作ったんだよ。すごいよね~
② She herself made the cake .
これは
”ケーキを作ったのは他の誰でもなく彼女本人なんだ”
というニュアンスで主語を強調したい場合に使います。
この文では”彼女”という主語が強調されています。
イメージはこんな感じです。

ねぇねぇ そのケーキは彼女のお母さんが作ったの?

違うよ 彼女自身が作ったんだよ。すごいよね~
③ She made the cake by herself.
これは
”誰にも手伝ってもらわずに一人で作った”
というニュアンスで助けがなかったこと、一人きりだったことを強調したい場合に使います。
少し孤独で独立的なニュアンスがありますね。
イメージはこんな感じです。

ねぇねぇ そのケーキを作るのに彼女は誰かに手伝ってもらえたのかな?

違うよ 彼女自身が誰の手伝いもなしに1人で作ったんだよ。すごいよね~
以上3つの使い方をまとめるとこんな感じになります。
強調ポイント | イメージ | |
herselfが 文末 | 自分でやった(助けなし) | 行動へのフォーカス(自然) |
herselfが 主語直後 | 他の誰でもなく彼女がやった | 人物へのフォーカス(やや強め) |
by herself | 一人きりでやった | 独力・孤独なイメージ |
再帰代名詞はちょっとややこしいですが英会話では頻出表現ですのでここでしっかりと覚えておきましょう。
代名詞の文法的役割⑤ 指示代名詞(これ・それ・あれ)
指示代名詞は、
”話し手が特定の物・人・事柄を指し示すときに使う代名詞の形”
です。
日本語でいう
”あれ・それ・これら・あれら”
を表す以下4単語ですね。
this(これ・この)
that(あれ・それ・あの)
these(これら・この~たち)
those(あれら・それら)
指示代名詞はこの4つだけなのでサクッと覚えてしまいましょう・
またこれも丸暗記ではなくイメージで覚えた方が知識としても残りやすいです。
単数 | 複数 | イメージ |
this | these | 近い(話し手の近く) |
that | those |
遠い(聞き手や第三者の近く、あるいは過去の話題) |
指示代名詞の使い方の注意点をまとめると以下のようになります。
① 代名詞的用法と形容詞的用法がある
② 距離感は物理的距離だけでなく心理的距離も含む
③ 文法的に単数・複数の一致が重要
④ 電話などでは“this”を使うことが多い
指示代名詞は代名詞的用法と形容詞的用法がある
指示代名詞には以下2つの用法があります。
代名詞的用法・・名詞の代わりとなる
形容詞的用法・・名詞の前について意味を限定する
この2つの例文を見て下さい。
A This is mine.(これは私のです。)
B This book is mine.(この本は私のです。)
Aの例文はこれ(This)がそのまま名詞の代わりとなっていますね。つまりこの場合は代名詞的用法となります。
Bの例文はこの本(This book)と表現することで本という名詞を限定していますので形容詞的用法です。
指示代名詞の距離感は物理的距離だけでなく心理的距離も含む
This(これ)とThat(あれ)の使い分けの違いは物理的距離だけではなく心理的距離も含みます。
つまりこれもイメージの問題となります。
まとめるとこんな感じですね。
種類 | イメージ | 例 |
物理的距離 | 実際に自分からの距離が近いか遠いか |
this(手元の本) that(遠くの建物) |
心理的距離 | 話し手の気持ちに近い・遠いか、時間的に近い・遠いか |
this(今の話題・好意的) that(過去の出来事・ネガティブな印象) |
心理的距離というのが今一つイメージしにくいと思いますので例文をあげてみましょう。
This is going to be amazing!(これはすごいことになるぞ!)
これは話し手の意識が(これから始まる~)といった”未来または現在”にありますね。こういった場合はThisが使われます。
That was a great party.(あのパーティーは本当に良かった)
話し手の意識は“今”ではなく、”過去”に向いているのが分かりますか?つまり”あのパーティ”といった過去の出来事を話しているのでこの場合はThatなんですね。
また感情や印象の距離でもThisとThatは使い分けることができます。
Thisは親しみ・好意・共感 を表すときに使われるイメージ
Thatは 距離を置きたいもの・否定的な印象 に使われることイメージですね。
A I love this song!(この曲、最高!)
B That man was so rude.(あの男、超失礼だった。)
Aの例文は”話し手がその曲に感情的に近い”と感じているイメージ。
Bの例文は”失礼な男だから距離を取りたい、心理的に遠い存在”と感じているイメージです。
ちなみにネイティブスピーカーは、自分の感情や態度をさりげなく伝えるためにこんなイメージでthisとthatを使い分けています。
指示代名詞は文法的に単数・複数の一致が重要
英語では、指示代名詞(this/that/these/those)と動詞・名詞の単数・複数の一致が非常に重要です。
ちょっと面倒くさい英語特有のルールなんですがここでサクッと覚えてしまいましょう。
※単数形・複数形については関連記事に書いていますのでこちらもご覧ください。
※関連記事
日本語にはない英語特有のルール 複数形について徹底解説
指示代名詞が単数形(This/That)の例文
This is a pen.(これはペンです。)
“this” に合わせて動詞は is(単数形)、名詞は a pen(単数形)です。
That boy is my friend.(あの男の子は私の友達です。)
“that” に合わせて動詞は is(単数形)、名詞はboy(単数形)です。
指示代名詞が複数形(These/Those)の例文
These are my books.(これらは私の本です。)
“these” に合わせて動詞は isの複数形”are”、名詞はbookの複数形 “books”です。
Those people are students.(あの人たちは学生です。)
“those” に合わせて動詞は isの複数形”are”、名詞はstudentの複数系 “students”となります。
ちなみにこの場合のpeopleは複数形にする必要はありません。
なぜなら
peopleはそれ単体で”人々”という複数形の意味を持っているから
なんですね。(英語はこういう単語が非常に多いです)
この文の場合は名詞・動詞もすべて複数形でそろえる必要があります。
Those apples are delicious.(あれらのリンゴはおいしい)
“those” に合わせて動詞は isの複数形”are”、名詞はappleの複数系 “apples”となります。
英語の複数形や単数形の使い分けはややこしくて頭がこんがらがりそうですが英文法の基礎の基礎ですのでよく分からない人は関連記事を読んでしっかり理解しておきましょう。
※関連記事
日本語にはない英語特有のルール 複数形と単数形について徹底解説
電話などでは指示代名詞“this”を使うことが多い
日本語では電話を出るときは・・

もしもし ○○です
ですよね。
英語では、

Hello This is ○○
となります。
先ほども説明したとおり英語では今この会話に関わっている人・物・状況を “this” で表します。
電話での会話はお互い物理的には離れていても話している”今・この状況”は心理的に近いですよね。
電話では話し手と聞き手が心理的に「今ここ」にいる関係なので、thisを使うのが一番自然なんですね。